『おはよう』


朝、玄関から出た私に優しく目を細めながら、手話でそういった悠真くん。



『おはよう』


挨拶を済ましたら、どちらからでもなく導かれるように手を繋ぐ。



12月。


悠真くんと付き合ってからそろそろ3ヶ月を迎える。


未だに耳が聞こえないとバラした人は定かでないけど、私たちの中で麗奈ちゃんか百香ちゃんしかいないと結論付けていた。


ふたりが私を避けたように、私もふたりとはなるべく関わらないようにしていた。



『寒くないの?』


『だいぶ寒い!』



悠真くんは手袋もマフラーもしてなくて、とても寒そうだ。


繋いでる手はだんだん温かくなってきたけど、首元とかも見るからに寒い。



よし、クリスマスプレゼントはマフラーとか手袋とかにしよう!



と心に決めて、私は悠真くんの手をぎゅっと握り返したのだった。