「え……耳が聞こえないの?」


「うん……黙っててごめんなさい」



百香ちゃんが確認するように、私に問いかける。



「あ、日和ちゃ……じゃなかった」



麗奈ちゃんは口を動かしたものの、止めてしまう。


彼女はリュックから、紙とペンと取り出した。



『私、滑舌悪いってよく言われちゃうんだ。
口をあまり動かさないみたいなの。
聞き取れないこと多かったよね、ごめんね』


「いやいや、謝ることないよ!
逆に私が申し訳ないというか……」


『何かあったら、すぐに言ってね!
いつでも助けるから!』



あれ……なんか思ってたのと反応が違う。


距離を置かれると思ってたあまりに、私はきょとんとしてしまう。



「私も書かせて」



私がきょとんとする他所で、百香ちゃんは麗奈ちゃんの紙とペンを借りて、スラスラと書き出す。