店内の音楽が、しんみりしたものから、少しだけポップな印象を受ける音楽へと変化する。



心が窓を見たのにつられて外を見れば、先程まで土砂降りだった雨は、小雨になっていた。

辺りも薄暗くなり始め、何時だろうかと腕元に視線を落とす。

「そろそろ帰れ、心。もうすぐで暗くなるから先に帰れ。

………………最後は、辛いだろ?」


送ってやることは、出来ない。

別れ話をされたのだから、送るのは賢明な判断では無いはずだ。

他に好きな男が出来たと言っているのだから。

それに、ガタが来てる体ではそんなに遠くに行くことは出来ない。


お金を机に置こうとするから、最後のケジメで俺から払わせてくれと手を押し戻した。


笑って、伝える。


「じゃあな、心。

また明日、学校で。」


『うん。また明日。』


心は涙で濡れた顔で。目元を赤色に染めて、帰路に着いた。