虚愛コレクション




名前を呼ばれて振り返れば予想していた通りやはり千代で、隣には西君がいる。


「あー、二人とも仲良さげじゃーん」


なんて。嬉々として声を上げれば繰り出されるのは……


「かっ、神楽!!」

「そう見えると、嬉しいな」

「西君!?」


もう恒例になったような光景。こんな時私は一人、入れずにいて蚊帳の外に出された気持ちになる。

入れば何も問題はない筈なのに何故か入る勇気がない。

海辺でもそう、昼間もそう、以前からそう。

対人関係を作るのが下手くそだと言ってしまえばそれまでだ。


「――……」


嫌い。大嫌い。


「……馬鹿みたい」

「っ、」


私に言ったのか、誰に言ったのか。

けれどその場にいた全員に聞こえるような音量で吐き出して彼は私の横を抜け、何も買わずにコンビニから出ていってしまった。

私はその背を呆然と見ているしかできない。


「祈、今の人……知り合い?」

「あ、うん」

「そう、なんだ……」


顔も見ずに返事を返した後にきちんと皆に向き直った。