だからこそ、私は私なりに余裕をかましてみせるのだ。上目遣いがちに、不敵に笑って。


「おにーさん、そうなると、どっちにしろ犯罪者ですよ」

「そうだね。だから、そんな事しないし、嫌だとも言わないよ。前科なんて持ちたくないからね」


だが、そんな必要も無いかのように今までの事を一変させた。奇妙にも程があり、思わず目を丸くさせると、彼は正しい姿勢に直した。

あっけに取られて少し開いてしまった口を閉じた後、再度口を開く。


「――今までの下り、いい訳か何かですか?」

「何の事言ってるか分かんないね。俺はアンタに脅された。それだけ」


やはり言い訳の類だろうと感じてしまう。頭のおかしい女子高生くらい、彼の言うようにちゃんとした方法で脅すなりなんなりで、振り払えるだろう。彼は私より何枚も上手の筈だ。

なのにそれをしないのは……


「――……」


ヤバい。

普通ならそう思わないとならないのに、思わなくて。むしろ、興味が底を尽きる事無く湧き上がった。次から次へと。

それでも興味を何とか内に秘めた。


「なら、行きましょうか?」