想像する。切る私を。

想像する。流れ出る血を。

想像した。そうして怖くなって体の芯が冷えた。


「――……嫌です。痛いの嫌ですし、怖いです」

「ああ、そっか。痛いと泣いちゃうもんね、最初も今日も」


何とも嫌な、含みのある言い方をする。淡々としているだけに、噛みつく場所が見当たらなく、口を開けるだけとなった。


「……女の子泣かせて、悪いとは思わないんですか?」

「思わないね。アンタが笑うより、泣いてる方が数倍好き」


また表面の事だ。今さらどうってこともないし、別にいいけれど。

彼がこんな表面を気に入ってくれているからここにいれるのだ。だから、それに対しては感謝くらいすべきなのか。この、私を瞳に映してくれる彼に。

だがやはりこの人は、少々思考が危ない。優しく言えば悪趣味だ。

だけど誰よりも私は、私を……


「で、今日は何聞けばいい?」