息を吐き出し、一つ間を開けてから投げられる言葉。


「だから言ったじゃん。癖だって。痛いの好きじゃないけど、それも含めて癖になるんだよ。だからピアス開けてみて補っても意味なかった」


意味がない事を意味するのは現状だけ。

お洒落を通り越している両の耳に開いた無数のピアス。繰り返し繰り返し付けられた手首の痛々しい傷。

それを癖だと言うのは本当。無言で語りかけてくる。掛ける言葉など何処に見つけられるのだろうか。


「何て言うか……絶句です」


どうあがいても、どうせすぐ手元にある言葉しか差し出せない。理解しようなんてとうてい無理な話なのだ。

私には興味が率先するのだから。

そんな私に彼は言った。


「アンタなら多分分かるよ。同じように切ってみればいい」


チラリとテーブルに置かれたカッターに目をやる。鋭利な刃物、切るためのそれ。目の前の彼が示すコト。