生気の無い瞳、血の抜けたような肌の色。人形とでも呼べそうな姿。私が居ようと居まいと切り続ける姿。
その異様な光景が綺麗で、ゾクゾクする。初対面とは違う感覚だ。
ただ、あの日も確かに気持ちが高ぶってた。母に憤りを感じたからだとも思っていたが違うらしい。
いや、次に気持ちが高揚した時には既に分かっていた。そして今確信に満ちた。
「やっぱアンタおかしいよ。変」
「何がですか?」
「普通なら止めるか、驚くかくらいするのに、アンタ、自分に過激って言いながらそんな事聞いて、ジッと見てるじゃん。こんな俺の姿を」
見破られたくなくて、そんなつもりはないと目を伏せてみる。けれど、光景は幻覚のようにチラついたまま。
興味が消えないのだ。彼への、行為への。尽きることなく溢れる。溢れて止まらない。
「両耳に開いた沢山のピアスも自傷の一種ですか?」
「まだ聞くんだ」
彼は、側に置いてあったらしいガーゼを手首にあてた。白が赤にゆっくり飲み込まれる。


