やや掠れ気味の声が私に投げかけられた。ドクドクと全身の欠陥が脈打つような感覚を覚えた。


「あ、や、……私にはちょっと、過激ですね」

「動揺してるんだ」


むしろ、彼の方に動揺何でもいいから分けてあげたい気分になる。彼には感情と言うものがないのだろうか。こんな時くらい。

ペタペタと足音を鳴らしながら恐る恐る近付く。


「痛く、ないんですか?」


ソファーに座る彼の前にペタンと座り、少々見上げる形になりながらも問うと、一度手を止めた。けれど血は止まる事もない。


「痛いよ。痛いに決まってんじゃん。痛覚あるんだし」


当たり前。とでもいいたいのか、でも到底痛そうには見えない。

痛くないから切り続けられるのだなんて思ってしまう。


「痛い事、好きなんですか……?」


意味の分からない、問いかどうかすらも分からない事を言ってしまった。

そうじゃない、普通ならそんな言葉を投げなかけない。頭で分かっていても、ただ傍観者になってしまうのだ。

いいや、違う。その前に綺麗だ。なんて思ったんだ。彼のその姿を。