「意味はないよ。けど、早く気付いた方がいいよ。死にそうなのはアンタだ」
頬杖をつきながら、遊ぶようにフォークでケーキを潰すことを止めない。スポンジと生クリームが混ざり合う。
苺の赤。スポンジの黄色。生クリームの白。綺麗でお行儀のよかったケーキの姿は見る影もない。
潰れて、潰されて、ぐちゃぐちゃ。
「――……」
彼の言いたいことは分かる。
端的に言えば、余計な事ばかり考えているからその内潰れると言うことだろう。
苺にフォークが突き刺ささり、それは彼の口に入っていった。
「私だって死ぬわけないですよ。まだ死にたくないです」
そう言うと彼は笑った。
……ような気がした。
そして、口元についた生クリームをその舌でペロリと舐め、
「――ね、久しぶりにヤろうか。それこそ……死にたくなるくらい」
私に触れた。


