「透佳さんの話、もっと聞きたいです」
聞いて、彼の事を知りたい。この想いも錯覚だと言うのだろうか。
言わせたくない。
確かに私は彼に惹かれているのだ。理屈など関係ない。
「嫌。教えない」
「言うと思いました」
だから、ゆっくり彼を探って行くの。
「でも真面目な話、死んじゃいますよ?」
プラプラと手を振り、動きを確認していたであろう姿に言うと、ピタリと動きを止めた。
「……バカだなぁ、死ぬわけないじゃん」
「でも、透佳さんは今にも死にそうな顔してますよ」
「まさか。俺は自殺なんかしないよ。自殺したいとも思わない」
彼は、また傷つけないようにする為か、リストバンドをはめた。
無表情で言われても信用に値しない。いや、でも癖なだけなら事実なのか。だとしても。
「思ってなくても結果的にそうなるんじゃないんですか?」
私は危うく感じているのだが、本人からは全く別の答えが返ってきた。
「……自殺ってね、人だけが出来るんだって」
「っえ?」


