先まで彼の手に触れていた私の手は行き場もなく、少しそのまま停止していた。
だが、すぐに下して後ろで手を組む。
「企むって何ですか?」
そうだなぁ。と手首を撫でながら彼は言う。
「例えば、未成年とは性行為しちゃ駄目なのに、無理矢理犯されたって騒ぐ。とかそんな事?」
そんな、よくある話。
「他には?」
「金の巻き上げ。その他の利用。最近の女子高生は怖いからね。血を見て平気でリスカだの何だの平気で聞いてくる辺り」
どうやらそれは失態だったらしいけれどまあいい。残念ながら、彼の挙げたどれもが間違い。そもそもそんな複雑な答えじゃない。
単純で、簡単な事だ。
「ここにいる女子高生に関しては、頭がオカシイだけですよ。貴方に犯されたい願望を持ってるくらい」
ニッコリと、笑ってみせる。すると、彼の目は一瞬揺らいだ。
……気がした。
気がした。だから気のせいかもしれない。光のない瞳に変わりなんてない。


