欲しいのはもっと確かなもの。欲しくて欲しくて、貪欲に求める。
「透佳さんと付き合えるの私くらいですよね?」
そんなチープなものでも求めてしまう。まるで、執着するかのように。
「付き合ってる覚えないんだけど」
それも彼の前だと、どれも簡単に打ち落とされてしまうのだが、落とされた求める気持ちに混じるのは純粋な興味と探求心。
この人の奥は一体どうなっているのだろう。と。
彼の服の裾を軽く引っ張り、笑う。内心、わずかな靄が生まれているのを無視して。
「そうやって、今までの人達も食べてきたんですか?」
「……アンタには関係ない」
私の興味も探求心も彼は追求をさせようとしてくれない。
「ね、アンタは自分の何を知ってもらいたいの」
なのに、逆に聞いてくる。それはきっと、私に対する興味でも探求心でもないのだろうけれど。
質問がじっくり脳内に浸透してくる感覚がした。じわじわと、言葉が脳を侵食し尽くした。
「……は?」
問いを理解して予期せぬそれに、思わず気の抜けた声が上がる。
ポカンと口を開ける私を他所に彼はソファーから起き上がる。私は掴んでいた裾を、反射的に離し、彼は片膝を立てて座り直した。


