教室を出て、廊下を歩き、玄関を通り、校外へ。目指すは前回の待ち合わせと同じ場所。
時折生ぬるい風が頬を撫で、髪を揺らす。今朝の天気予報によれば、もうすぐ梅雨に入るらしい。
梅雨になろうが、ならまいが私には関係ない。だって、雨が降り続けるだけで何かが変わる訳でもない。
「ふふっ……」
そう考える中でついつい笑いを溢してしまった。ヤられると分かっていて赴くなんて、どうかしているな。と思ってしまったのだ。何かを変えたいとでも言うのだろうか。
変わらないなんて気づいていたのに。
この行動はバカ女と言われるのがお似合いかもしれない。彼だって思っているだろう。バカな女だと。
でも、誰も彼も皆そうだ。皆そんな事をしている。して、笑って何事もなく過ごしている。
だから、今更何も考える必要はなかったのだ。身を任せるだけ。スカートの裾を一回握ってまた離した。
「こんにちは、透佳さん」
「ん、こんにちは」
私はただ一人、彼にだけ身を任せればいいのだ。
他に誰にも縋れない私は彼に縋るしかない。


