『独占欲が強くなる』
先日、彼が発した事が音声と共に再生された。無機質な声で、響きで。何かにガツンと殴られたような衝撃が存在した。気持ちがぐるぐると渦巻く。
「戸倉(とくら)さんって……」
「あ、あの……うん……それで……」
「――……」
何だか気に食わない気がした。居心地が悪い気も。そして同時に私は、邪魔なのかもしれないと被害妄想を浮かべた。
このモヤモヤした気持ちは嫌いだ。依存しても意味などないのに、卑屈になっても仕方ないのに。
けれど、一方通行の一番は辛くなる。人として私を一番に置いて欲しい。
なんて。自分の中に順位など存在しないのに、何を言っているのだろうか。それでも、自分の気持ちの制御の付け方が分からなかった。
近くに置いてあった携帯を持った。
「あ、千代。電話来てたから、電話してくるね」
そして、逃げるように立ち上がるのだ。こうするのが考えれる中での最善だった。
「えぇ!?祈!?」
驚き、今にも「待って」と言い出しそうな千代に対して笑顔を作り、ヒラヒラと手を振って私は廊下に飛び出た。


