彼の上に乗っている為に微かにした身じろぎすら分かる。


「そう言って、ずっと後ろめたかったくせに。この間だってそんな素振り見せてたくせに」

「……」


否定など出来ない。だけどそれがどうした。そんな事は彼に関係ない。

責め立てるような言葉を私に向ける必要などないのだ。

いや、しかし思い当たる節ならある。


「……怒ってるんですか?神楽君と一緒にいたから」


以前彼は言った。『誰かに取られるのは嫌』だと。

だから、こんな事を言うのか。一種の嫉妬を私に向けているのか。

ああ、また優越感を感じてしまう。心の底から湧き上がる悦。


「私、誓って神楽君とはそんなことしてませんよ。……それは今、確かめれば分かる事です」


彼を見下して挑発するように笑って見せる。スカーフの結び目を自ら緩めて、でも解かないままに彼の手を手にする。

急くように、急かすように、自らのセーラー服に彼の手をすべり込ませる。


「……――」

「?」


ぼそりと、彼は何かを口にしたけれど、言葉としては認識できなかった。

それでも、彼の手は自らの意志で動き始める。

腹部の中心をなぞって脇腹へ、そうして背中に回ってまた脇腹から上に上がっていく。