ああ、駄目だ。やっぱり私は馬鹿な女なのだろう。

同情心。それがいつだって私を突き動かす。


「神楽君、」


絆されていたとしても、そうだとしても、私にはこんな歪な関係がお似合いだ。

だって、純粋な情など私には分からない。分からないのなら分からないままでいい。

それでも、やっとこの柵から抜け出せる事実がありさえすれば他には何も望まない。


「わっ、私……私、の親、」


そう思ったのに。

この世界はそんなに簡単に出来ていないらしい。

案外狭い世界で生きて居て、案外嫌なものほど目に付くのだ。クリスマスの日に神楽君を見つけてしまった時も同じだった。


路地を抜けた先の雑踏にパパが居た。