最初に言われて聞く耳を持てなかった私に対して、また事実を突きつける。
マフラーに隠した唇を思わず噛みしめた。
「こ、個人的な問題をなしにして、依存してるからって言う理由で引き離すの?」
「いいや?そんな事は友達としていた時の建前だったよ」
なら、他の理由は何だと続きを促そうとすれば、神楽君は一歩私から遠ざかった。
また、自然に私を躱す。
「そもそも友達だったらこんな話は絶対出来ない。しない」
「……」
そうだね、と単純に同意しそうになった。
私と神楽君はよく似ていたのかもしれない。良く似ていたからこそ、神楽君は私の事を分かったように話せたのだろう。
「でも、祈ちゃんは裏切ったりできない。僕だって裏切れない」
また歪な関係を形成しては、救いを見出してしまうのは愚かな私。
互いにこんな秘密を握ったのなら、どちらかが自暴自棄にならない限り一緒に居るしかないのだから。


