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「どんどん下手くそになってきてんね」

「何が?」

「笑うの」


と言いながら、購買で買ったであろうサンドイッチを齧る。

神楽君が言うのは千代と居る時の私ではなくて、神楽君といる私の事だろう。

だって、千代と居る時はいつも通り出来ている自信すらある。しかし、神楽君と居る時には、神楽君に関しては上手く表情が作れない。

何となくお弁当に入ったハンバーグを箸先で突いて弄ぶ。行儀が悪くとも、神楽君の前で取り繕っても意味などないのだ。

別館の空き教室で二人、向かい合っても私は俯くばかり。


「ごめんね、結局私は神楽君の言う通りには出来ないみたい」

「いいや?そっちの方が楽ならそうしてればいいよ」

「この間と言ってる事違うね」

「同じだよ。何をどうしようと祈ちゃんは祈ちゃんなんだから、それを肯定してるだけ」

「そう」


短く返答だけして、漸くハンバーグを口に放り込む。

ママが作ってくれたお弁当だったのだけれど、味がしない。卵焼きも唐揚げもおひたしも味がない。昔はもっと何でも美味しかった気がしたんだけどな。