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今まで、彼から連絡が来ることなんて時々あるかないか位で、圧倒的に私から連絡を取る事の方が多かった。
故に、私が行動を起こさなければ彼との繋がりなんて殆どないのだ。
「……」
ぼんやりと携帯の真っ黒い画面を見つめる。沈黙を貫くそれに私は何かを期待しているのだろうか。
……何を?
「祈ちゃん、祈ちゃん。はい、これあげる」
画面ごと遮るように手が携帯に置かれた。
「――ありがとう」
そうだ、何も期待などしていない。してはいけなかった。
顔を上げて相手にお礼を言った後に、漸く机に置かれたそれに視線を落とす。
金色の包装が成された小さな物が幾つも散らばっている。お菓子か何かだろうかと一つ摘まんで開けてみる。
「チョコレート……」
「これねー、苦味があってそこまで甘くないから、祈ちゃんでも食べれんじゃねぇかなって思って持ってきた」
「そうなんだ」
今一度笑って見せて、チョコレートを口の中に放り込む。
「あ、本当だ。食べれる、美味しい」
苦味に混ざる微量な甘さが丁度良い。咀嚼しても、気持ちの悪い粘っこさえも残らない。
もう一つ、と手を伸ばしたところで声が上がる。
「あ!神楽いた!また祈の所に来てたんだね!?私のお菓子取ったでしょ!?」


