唯一無二。それくらいの存在が欲しかった。それくらいの存在になりたかった。

高校に入って、初めて話した子が千代で。可愛くて、優しくて、気も合って、人として好き。

考え方を、やり方を変えようと思ったからか、今までよりも人と向き合えるようになった。そのおかげか、いい感情ばかりを持った。


だから、千代とは本当の本当に、それこそ親友とまで呼べるくらい友達になろうと思った。


そんな打算的な事を考えている時点で、本当の友達なんて作れないのかもしれない。

どんなに頑張っても、どうせ私は一番じゃない。友達の中の一人。私を信じてはくれない。

そう考えて、ぐちゃぐちゃな感情に支配されるだけだった。

醜くて汚くて。

彼が私を見てくれているとき。神楽君が私を気に掛けてくれているとき。そんな時に私は悦に浸って、自分で自分の事を好きになってあげられたのだ。

そう、ずっと神楽君が私を気に掛けてくれるのだ。全てを肯定してくれる。

ずっとずっと悦に浸っていられる。それはずっとずっとずっと好きな自分で居られると言うほかなかった。