怖い。執拗に手を回され、躓かない様にピタリと隙間を埋められ歩かされる。 それでも 「っ、っ~~!!」 そうやってお膳立てされることに微確かな喜びを覚えてしまったのは、私が根っからの自己愛者だったと示す事なのだろう。 けれど、そんな事には気づかない振りをする。 そう、神楽君は私に一言だって嘘は吐かせていない。全て“神楽君が言った事”なのだ。 だから私は肯定も否定もしない。 私の事をしつこく聞かないと言った千代に笑顔を向けるだけだ。 「ありがとう、千代」 「ううん。良かったね、祈」