神楽君だって、分かっているはずなのだ。何度も内緒にしてと言われるほど、口を開きたくなる女の子の事を。
ましてや、私は彼女たちとは表面上でしか仲良くはない。そんな子たちが約束を守ってくれるなど誰が思うものか。
きっと、明日には何処かから千代の耳に入っているのだろう。
これも千代の為だというのか。彼に近づけないように、彼から遠ざけるように、彼との事実を隠してしまう。
そうまでして、必要なのか。
「私の事なんて、好きじゃないくせに」
神楽君と話を終えて、人の恋路を知れた彼女達がクスクスと楽しそうに笑いながら出て行く。
足音が遠ざかって行ったのを念入りに見計らって吐き出した。
トン、と近くの机に凭れた神楽君が此方を見遣る。
「好きだって言ってたら良かったわけ?」
「そうは言ってない」
「でも、祈ちゃんはそういうのが好きだろ?」
「は?」
何のことだと言う前に、一歩、二歩、神楽君は私に歩み寄る。
リン、と鈴の音一つ。
「――好きだよ、祈ちゃん。あの人じゃなくて僕を選んで」


