「っ、はな、して……っ!何、神楽君は……」
手を引っ込めてみてもその力は強くて、更に絡みついてくるかのようだった。
動けば動くほど身動きがとれなくなる。
「ねえ、祈ちゃん」
声色が変わった。さっきよりよりクリアに音が耳に届く。
何かを言うつもりだ。そう、例えば私を殺すような一言。今まさに切り込む瞬間。そんな言葉聞きたくない。
「やだ!」
苦肉の策として、掴まれていないもう片方の手で耳を塞いだところで何の意味もなかった。
聞こえる、聴こえてくる。
私は“いい子”でいなくちゃいけない。“悪い子”では駄目だ。
「透佳さんと――するのはそんなに気持ちいい?」


