虚愛コレクション


恐る恐る神楽君を見れば、クリスマスの日のように悲しそうな泣き出しそうな顔をした。


「何でそんな顔……」

今までそんな顔見せたことはなかった。いつも笑っていた。その表情が意味するものは何なのだろうか。

神楽君と透佳さんには何の接点もない。あるはずがない。理由が見当たらない。

近づく事も遠ざかる事も出来ずにただただ困惑する。今一度問い掛けてみようかと思った所で、神楽君は俯いて絞り出すように吐き出した。

殆ど枯れたような声で言う。


「――……お願いだから透佳さんと離れて」


私の拠り所を引き離す言葉は切実な願いかのようだった。

頭が一瞬にして、混乱状態に陥った。何から考えて何を言えばいいのか検討もつかない。いいや、つけてはいけないのかもしれない。

分からない、離れない。ただそれだけで良かったのかもしれない。

今までのようにいたいのなら、聞いてはいけない。そう思うのに神楽君の口から細く溢れる言葉を一つ一つ拾い上げてしまう。