心配をした所で彼は私の手など取ってはくれないだろう。でもしかし、問いかけずにはいられない。
何と言われようとも私も良心がある人間だ。
「また切ったんですか?」
「……うん」
何かを振り払うように一度首を振って、何でもない事のような雰囲気で、また立ち上がり、ひょいとカッターを拾う。
何処か虚ろな目でカッターを少し上に掲げるようにして見た後、剥き出しの刃を収納してから、乱暴にゴミ箱に投げ入れられた。
ガコンと重い音。
「捨てるんですか?」
「そう、もう切れないからね」
彼が心配を望まないからと、倒れたのを目の当たりにした後にも関わらず、普通にこんな会話してしまう私は、もしかしたらただ薄情なだけなのかもしれないと自分で自分を疑って、目線を傷口があるだろう部位に移した。
白い清潔な包帯に広がるのは赤い斑点模様。
それは現在進行形で広がっていて、理由は一つしかない。
「……血、止まってないし」
彼も気付いたようだ。


