お風呂から出てポタポタと髪から滴を滴らせながら、また彼の居る部屋に戻った時、部屋の隅に刃が剥き出しの血が付いたカッターナイフを見つけた。
それは投げ出されたかのようで、血は言うまでもなく彼のだろう。
「透佳さん、カッター……落ちてますよ?」
彼は私の呼び掛けに「あー…」と短く音を漏らし、思い出したかのように寝ころんでいたソファーから立ち上がった。
ふらりふらりとした見るからにダルそうな足取り。
一挙一動が重くて仕方なく見える。いつも以上に血の気の引いた顔色は見ていて心配になる程で、行動を見守っている間に彼は力なく床に倒れ込んだ。
「透佳さん!?」
やはりいつもより血の気がないと思ったのは間違いではなかったのだと、バタバタと駆け寄り手を伸ばす。
けれど、力なくそれは払われる。
「あー……うるさい。ちょっとふらついただけ」
よほど体が辛いのか、不機嫌気味な声色でまたのそのそと起き上り床に座る。
盛大に溜息を吐いて項垂れた。


