そうやって完結しようとした所で、彼はトンッと自分の頭を人差し指で指した。


「でも、最近はアンタの頭のおかしい所好き。かも」


これまた意外な発言、展開。まさか、今まで言われていた顔以外にも言われると思わなかった。

彼が意見を変えるわけないと勝手に思い込んでいた。勝手な思い込みは間違い。

それが、あまりピンとこない事だろうが変化は変化だ。


「頭のおかしい所って、何ですか?」

「こんだけ言われても過剰反応しないところ。と、何かよく分かんないけど今この場面で笑うような所」


言われて気付くのは口角が上がっていた事。パッと頬に両手を当てる。

それでも口角は上がりっぱなしだ。

ジッと視線だけを上に上げて、更に口角を上げきる。彼を見つめる。

ああ、もう我慢できない。


「透佳さんが私の中身を好きだと言ってくれて嬉しいです。凄く」


吐き出せば、彼は間を開けて一言。


「やっぱりアンタ頭おかしいよ」


そうして再び歩き始める。スタスタと彼の家の方向へ。私もそれについていく。まるで刷り込みが完了した雛のように。


追い掛けるしか私には分からなかった。それでも、確かに幸せな気持ちがあった。