意味はない行為だが、もう二回ほどつま先で地面を叩く。


「逃げるなんて意外ですね。来るもの拒まず、去るもの追わず。な透佳さんじゃないんですか?」

「さあね。でも、来るものだって拒むよ。アンタと会った日、あの場で拒んだ後だったし」


え、と目を丸くする。

タイミングがよかったと言うことだろうか。だが、来るものと言えばきっと彼と同じ年くらいの人であって、きっと経験なんて沢山あって。

間違ってもこんな子供みたいな奴ではない筈だ。


「……何で私は拒まなかったんですか?」


拒まれてもおかしくはない。あの時点で全てを見抜かれていて、めんどくさい事も分かっていた。なのに。

彼はコンッと私の真似をするみたいに地面を一回叩いた。


「アンタの顔が気に入ったのと未成年犯す興味。それと、想像したんだよね。俺の下で散らばるその、黒い長い髪」


私と初めてあった時の発言からも伺えるような答えと今知る答え。どれも最低で最悪だ。

だが、悪い気などしない。だって、こう言う嘘のない部分だって彼に惹かれる要因なのだ。


「相変わらず見た目なんですね」


皮肉でも何でもなく率直な意見。外が好きなら外でいいのだ。