何度だって彼は私を振り払う。宙に留まる手を下ろす。
「助けたのは気まぐれ。オジサンと俺は同じだよ。ただヤりたいだけ」
私と彼の空間を裂くように、溝を更に深めるかのように淡々と告げる。
ショックなど受けない。受ける筈などない。だって彼はそう言う人だと知っている。
「じゃあ違うのは私ですね。私はオジサンに何の感情も持たなかった。けれど、透佳さんに興味を持った。貴方が好きだと思った。だからあのオジサンとは全然違います」
ね?とニッコリ微笑んでみせると、彼は私から一歩下がった。
「……アンタのそういう屁理屈っぽいとこ嫌い。誰とでもヤるような女だったらよかったのにね」
いくら、初めてが彼とだったからと言って、そんな女に見られていたとしてもおかしくはない。出会いが出会いだ。
「でも、そんな女子高生、嫌じゃないですか?」
「嫌だね。アンタがそんなだったらとっくに逃げてるね、俺が」
パチパチと瞬きを繰り返してしまう。意外にもそういう人が嫌いなのだろうか。逆を言えば彼がそう言う人だと言うのに。
コンコンとつま先で地面を叩いた。


