彼の言葉にオジサンはただただ、曖昧な笑い声を溢して曖昧な言葉を言う。


「何の事かさっぱり……その子と知り合いなだけだよ」

「最初から嘘なのバレてるよ。でもそうだなぁ、敢えて指摘するなら、顔は触る。瞬きは早い。視線は上向き。足に落ち着きがない。言葉の復唱も割と嘘つく人の行動なんだよね。知り合いどころか小さい頃から知っているんじゃなかった?」

「う、嘘なんか吐いていない」

「それも、手を隠そうとするのも、手の内隠すって意味で、嘘つきの行動なんだよね」


攻め立てるように、饒舌に、彼は言葉を紡ぐ。何の根拠があるのだろうか。


「さっきから見てたけど、そう言う癖あるわけじゃないよね」

「?!」


見ていた?さっきから?と言うと、私がオジサンに声を掛けられて居たのを知っていた訳で、彼は私を助けようとしなかったと言う事になる。何て酷い人だろう。と勝手憤りを感じた。


「何されそうになったかこの子に聞いたら早いよね。ね、何されそうになった?」

「あ、いや。違うんだ。道を聞こうと……」

「さすがに破綻しすぎ。女子高生捕まえたいならもっと賢くならなきゃ。ねえ、通報とか嫌でしょ?俺黙っててあげるから、今の内に逃げた方が身のためだよ」


けれど同時に、感謝をするしかなかった。