駅前の柱に寄り掛かり、ポケットに手を突っ込みマフラーに顔を埋めているのは他でもない彼。


「……酷い顔だね」


無表情に貶した後、私が走ってきた方向に首を向ける。見つめている先にはさっきのオジサンが走ってきていた。

それを見てサッと青ざめる。駅の構内に入ろうかと足を動かした。が、


「特別に、助けてあげる」

「へ!?」


何を思ったのか、私を引き寄せ、ギュッと腕に閉じ込めた。

助けてあげると彼は言った。だとすればあのオジサンからだろうか。確かに顔は隠れているが、さっき見た時目がバッチリあったのだ。見逃してなどくれないだろう。


「君、その子は……」


ほら、声を掛けられてしまった。

余計な騒ぎになる前にやはり逃げようと足を踏ん張るもビクともしない。彼が私を押さえ付けるのだ。