驚いて、顔をあげると、サラリーマンだろうかこんな時間にも関わらずスーツを着たオジサン。私のパパと同じくらいの年だろうか。

だが、そんな事より、顔がニヤついていて気持ちが悪い。

無断で隣に座って来る故に、少々、間を開けるように横にずれる。

なのに、間合いを詰められ、追い込まれるように近付かれた。


「っ、今日は、早く学校が終わったんです。それだけです」


と言い立ち上がろうととしたのだが、ガッと手を捕まれた。


「へぇ、じゃあ何で帰らないの?」

「ちょっと、色々あって」


軽く手を引くのだが離してくれない。


「暇してるならさ、オジサンとどっかいかない?」

「いいです。遠慮しときます」


今度は強く引くのだがビクともしない。

ああ、何だか散々だ。テストの日はいつもついてない。オジサンと何処かに行くと言うことはつまり。


「……希望する金額あげるからさ」


そう言うことで。本気で気持ち悪く感じた。

そうか。やっぱり私が許すのは彼だけなのだ。彼以外あり得ない。

助けて欲しくとも、彼は来ないのに。