――


「俺シた後のアンタの顔一番好き」


唐突に脈絡もなく、感情もなくお風呂から戻ってきた彼はそう言った。

私は少しばかり面を喰らったのだが、彼は気にもせずポタポタと落ちる水滴を拭いている。

こんなストレートなのは今更だが何だろう。そう、何となく彼の機嫌がいいような気がする。

でも何故だろう。


「……私とシて、気持ち良かったですか?」

「そうだね。アンタとするの一番好き」


と、更にストレート。

彼の機嫌が良いところなど初めて見るかもしれない。

いつも感情に変わりなく平坦で、言いたいことは言うけれど会話のキャッチボールなどまるでしようとはしない、そんな彼。

そんな彼がいつもと違うと途端に優しく見えて、機嫌が良い事が何だか嬉しくなった。

私でもまだ誰かの良い感情の一部分になれるのだと。

実際は酷いことを彼が言っていたとしても今の私にはそれでも十分だった。