また歯を食い縛る事も出来ず、ただただ押し寄せる快楽に悦ぶ。

何かを掴んでいないと落ち着かなくてシーツを握り込んだ。


「そう、ちゃんと喘いで」


彼は今どんな表情をしているのだろうか。

まさか笑っているなんてことはないだろう。きっといつも通り無表情。

なのに、彼の顔を見たくて堪らない。彼の表情を見て快楽に溺れてしまいたいなんて。

でもどうしてか視界にモヤが掛かったようになっている。部屋が薄暗いからなのか。

いいや、違う。違うけど、何だっけ。


「泣くほどきもちい?それとも――……」


……ああ、そうか。私泣いているのか。

自覚してから泣いているときのように、鼻の奥がツンとしているのに気がついた 。

彼の声は私の声に重なって続きを聞くことが出来なかった。