出てきたのは、大きめのウサギのぬいぐるみキーホルダー。歓喜のあまりに叫びそうになったのを寸での所で堪えた。

見覚えは、誰よりもあるつもりだ。


「こ、これどうやって……」


好きなショップの数が限られてる限定のぬいぐるみ。速攻売り切れて欲しくても手が届かなかった物。

ショップで売られてる、これまた限定デザインの服に身を包んだウサギは物凄く可愛いのだ。
パチパチと目を瞬きさせ、食い入るように見つめた。

もう一度、「どうやって」と呟くほどに驚きを隠さずにはいられなかった。


「折角の祈の誕生日だから気合入れてみましたーー!入手ルートは内緒なのです」


悪戯に笑い人差し指を立てて内緒のジェスチャーを出してくる。なのでそれ以上は突っ込まない。代わりにもう一度。


「ありがとう、千代(ちよ)嬉しい」

「えへへ。どういたしまして」


これだけで、たったこれだけの事で、誕生日も案外捨てたもんじゃなかったのかもと思える辺り、私はどうやら単純に出来ているようだった。

――……勿論、今更気づいても遅いのだが。