虚愛コレクション



それでも、彼は勝手に私のほしい答えはくれる。例え残酷な答えであろうと、だ。


「アンタの望みなんて知ってるけど、俺はやりたいようにやるだけだよ。残念だったね、男ってそう言う生き物だよ。……いや、女も一緒か」


充分過ぎるほどに充分で、歯を食い縛りたくなり、私は口に入った指に軽く歯を立ててしまった。


「痛いよ。怒ってんの」


抑揚のない問いに頷きもせず、かと言って首を横にも振らず、ただ目をギュッと閉じた。


「噛みたいなら噛めばいいよ。どうせ、最後にアンタは満足するでしょ?」


行為は続けられ、進められる。

入れられた指先は口内を探る様に動き、舌を撫で歯列をなぞる。

ぞわりと口内を犯す感触に唇の端から思わず息が漏れた。


「んっ……ぅ」


嫌だ嫌だ嫌だ。違う、そうじゃない。

どうせ最後に満足すると言われたが今日は、今日だけは体が全力で拒否した。


「っ!」


羽交い締めされていたのを身を捩らせる事でほどき、既に少し乱れ始めていた着衣もそのままに彼と間を取った。