はっ。と息を漏らして、声が出る事を確認した。


「あ、あは。やだなぁ。何言ってるの?友達に彼氏出来たくらいで居場所が無くなるなんて……」


自然と目が泳いだ自分に気付いて、視線を下向きに固定する。

ぽたり、と汗が一滴地面に落ちた。

あつい、熱い、暑い。でも酷く冷たい、痛い。

図星だなんてそんな事はない。ちゃんと千代に「おめでとう」と言った私は友達としての居場所から変わる事などない。

彼氏と友達は違う。何十回も何百回も思った事だった筈だ。


「でも、祈ちゃんはそういう子なんじゃねぇの?一対一じゃないと、少しでも入る余地が狭まると、上手く人と付き合えない子」

「え……?」


何をと問おうと顔を上げるとニィッと私に対して不敵な笑みを向けてくる神楽君。

確信に満ちていて、だから私は見透かされたようで恥ずかしくなり唇を噛み締めた。が、直ぐに取り繕って見せた。

顔に掛かった髪を耳に掛け、表情を見せるように努める。


「神楽君変だよ?私、そんなことないよ?」


上手く笑えているか居ないかで言えば、答えは歴然だろう。

神楽君は暫し意味ありげに私の目を見つめた後、言った。


「千代の邪魔しないなら、それでいいよ」


と。