内容は、私が夜に帰って来なかったから心配したとの事だった。
その事と、電話が繋がらない事で怒られたが、友達の家に居ただのと嘘を吐く事で難を逃れた。
心配している振りなどしなくていいと悪態を吐きたくなるのを堪えながら謝った。
いい子を演じながら、反省する素振りを見せながら、泣いたフリをしながら。
ああ、こんな自分、嫌いで気持ち悪い。と思いながら。
そうやって、電話を終えると今度は彼からの追撃があった。
「……アンタの家族、最悪だけどそれ以上に大切にされてるじゃん」
ゴロリと寝返りを打ち、此方を向いた。上目遣いがちに此方を見ている。
一瞬返す言葉に戸惑った。が、それでも私の意見は変わらないだろう。
「上辺だけですよ。大人なんて平気で嘘を吐く。子供なんて所詮親の所有物でしょう?」
私だって嘘を吐くけれど。所有物なんて嫌だけれど。仕方ないと割り切ればそれまでだ。
「本当、ひねくれてる」
「ひねくれてなんて居ません、事実です。子を持つ親は子供の命よりもまず先に、世間の体裁を気にするに決まってます」
「斬新だね、その考え」
と言いつつ、眠いのか目を閉じたり開いたり。子供みたいな仕草をする彼は眠気を飛ばそうとするように数回、早い瞬きをした。
そして、結論を出す。
「まあ、親なんてそんな良いもんじゃないよね」
と。


