次に目を開けば明るい視界の中で、視線が合った。ジッと此方を、此方だけを見ている。
透佳さん。と口内で呟いた。
「よく寝てたね」
「……はい」
反射的に返事をして、ああ私眠っていたのかと気づく。
そうして更に気が付いたのは、此処はベッドの上だと言うこと。狭いベッドを二人で共有しなくともいいのに、今は紛れもなく共有していた。
私なんかソファーか床で寝かせておけばいい。もしくは起こせば良いものを。
これも彼のあるはずもない優しさなのだろうか。
何にせよ、このままだと狭いだろうとモゾモゾと体を起こした。
彼はベッドに横になったまま。
「透佳さんは起きないんですか?」
「俺、もう一回寝るし」
と、寝返りを打つ。彼は意外にも二度寝する人なのだろうかと、どうでもいいことを考えてみたところで、そもそも目を開いてすぐ目が合った事から今まで寝ていたのかもすら怪しいところだ。
ふっと何気なく顔を上げれば飛び込んでくるのは壁に掛けられた時計。
現在時刻、8時過ぎ。明るい事から朝だ。そう、次の日の朝。それ以外あるはずもない。
「っ、け、携帯……っ!」


