そんな私を察したのか彼はそれについては何も発してはこなかった。
代わりに
「首、くすぐったいんだけど」
そんなことを言った。
だが、私は更に彼にしがみついた。離さないように、離されないように。物理的なものだとしても。
だって、私が要らなくなってしまうのは怖い。
例え虚偽だとしても、私が必要とされるならば。
「くすぐったくて興奮する。もしくは、引っ付き過ぎて興奮する。の間違いじゃないですか?」
こんなことだって言う。悲しい事だ。悲しいことにこんなことしか知らない。分からない。
急速に乾き始めた口内から、喉から、固執するかのように、彼の耳元で言葉を発した。
「ヤりたいなら、どうぞ?」
これこそ虚偽だった。


