からん、と、溶けた氷がまた崩れてガラスのコップを鳴らす。ましろが出した麦茶でまったりと過ごす午後の2時、優夜は縁側で、アイスを食べながらましろと並んで座り世間話をしていた。

「…へぇ、東京にはそんなものもあるんだ」

「ここみたいに蛇口をひねれば美味い水道水が出るわけじゃないからなぁ。ぬるいしとても飲めたもんじゃねえぞ。俺のところもウォーターサーバーだった」

どこかしこに置いてある冷えた水が出る機械、空気清浄機など、ここにはないものの話をしていた。
ましろは食べ終わったカップアイスのへらをくわえ、縁側から庭に出した足を揺らしながら、どこか他人事のような感じでそれを聞いていた。

「想像つかねぇ?」

「つかないわけじゃないけど……私は昔からここに住んでるからね。エアコンよりも扇風機の方が慣れてるし」