『下校時間です。校内に残っている生徒は全員校舎からすみやかに出てください』
まるで校内へと戻っていく生徒を見ているような、冷静な声音。
私はアナウンスが聞こえないフリをして、アナウンスが流れた瞬間にピタッと止まっていた千尋に追いつき肩に手を置いた。
「今日はもう帰ろう、千尋」
「嫌だよ。弥生がまだ見つかってないのに帰るなんて絶対に嫌……」
ぷるぷると小刻みに体を震わせながら小さくつぶやく千尋。
こちらに背を向けているので表情はわからないが、悲しさと悔しさがあふれているように見える。
千尋の気持ちはわかる。
だけど……。
「豊洲さんが見つからないまま帰るのが嫌なのは私も同じだよ。でも、豊洲さんがこの学校にいるとは限らないよ。今は帰ったほうがいいと思う」
豊洲さんがここにいると決まったわけではない。
自分の身を直美によって傷つけられないようにさっさと帰ったという可能性もおおいにありうる。
「だから帰ろう、千尋」
「……っ、わかった。帰る」
まるで校内へと戻っていく生徒を見ているような、冷静な声音。
私はアナウンスが聞こえないフリをして、アナウンスが流れた瞬間にピタッと止まっていた千尋に追いつき肩に手を置いた。
「今日はもう帰ろう、千尋」
「嫌だよ。弥生がまだ見つかってないのに帰るなんて絶対に嫌……」
ぷるぷると小刻みに体を震わせながら小さくつぶやく千尋。
こちらに背を向けているので表情はわからないが、悲しさと悔しさがあふれているように見える。
千尋の気持ちはわかる。
だけど……。
「豊洲さんが見つからないまま帰るのが嫌なのは私も同じだよ。でも、豊洲さんがこの学校にいるとは限らないよ。今は帰ったほうがいいと思う」
豊洲さんがここにいると決まったわけではない。
自分の身を直美によって傷つけられないようにさっさと帰ったという可能性もおおいにありうる。
「だから帰ろう、千尋」
「……っ、わかった。帰る」



