水月夜

不思議に思う私に、マリコさんがこちらに顔を向けて言葉を口にした。


『両親やけなしてきた人を恨んでない私が、『水月夜』を不気味に思う人や死を描かれた人を殺すわけないじゃない』


「…………」


『自分が疑われないように、恭平は『水月夜』のレプリカを複製したの。無断で。そして、見る人によって不気味に見える細工をほどこした』


『水月夜』のレプリカを無断で複製した……⁉︎


驚きのあまり、言葉が出てこない。


さらにマリコさんの話は続く。


『恭平は、江並に住んでいる人の個人情報を自分のパソコンのデータに保存して、『水月夜』を持っている人の家を特定した』


こ、怖っ……。