水月夜

首からロープが離れないかと思っていると、マリコさんが優しげな笑顔を浮かべた。


『それは……ある人物にメッセージを送るためだったの。“もし私が死んだらあなたを恨んでやる”って』


ある人物にメッセージを送るため?


いったい誰に?


疑問に思う私に、マリコさんが表情を険しくさせて私の隣にやってくる。


そして、かすんでいる視界のどこかに人さし指で指さす。


『あの男よ。あなたが首を絞められているのを見て笑っている、久保恭平よ』


久保さん……⁉︎


なんで久保さんにメッセージを……?


『あの男は、最初に出会ったときから自分を優先する男だったわ』