なに、この胸の痛みは。


どうして私は、親友が雨宮くんに話しかけている姿を見ただけで胸が痛くなるの?


そう思った直後、視界がぼんやりとにじんだ。


視界を邪魔したのが涙だと悟った直後、雨宮くんが私に気づいてこちらに駆け寄ってきた。


「柏木、どうした⁉︎」


雨宮くんがこちらに来たことによって直美は向こうに取り残され、呆然とした顔で雨宮くんを見つめていた。


『ついさっきまで私と話してたのに、なんでそっちに行くの?』


疑問を抱く気持ちが表情からにじみでているように感じた。


呆然とする直美と、胸が痛くなる私をスルーして、雨宮くんが慌てた様子で私の顔を覗き込んだ。


「もしかして柏木、俺と大坪が話してるところを見たのか? それで傷ついちゃったのか? ごめんな、でも大坪のことはなんとも……」


だんだんと雨宮くんの声が遠くなっていく。


私の意識は直美のほうに向いていたから。


直美は、雨宮くんが離れたあとすぐにヒロエと紀子に囲まれた。