水月夜

そして、私の姿を視界に認めるなり、ギョッと目を見開いた。


「り、梨沙ちゃん! な、なんでここに?」


それはこっちのセリフだ。


「久保さんこそ、なぜここにいるんですか?」


部屋の中に入り、久保さんへとゆっくり近づく私に、久保さんは目を泳がせた。


なにかを隠しているような表情をしている。


してはいけない質問だったのはわかったが、それでも私は表情を変えなかった。


久保さんがここにいる理由を知りたいから。


「……っ、そ、それは……」


久保さんの額から大粒の汗が流れているのを見ても、黙って久保さんの言葉を待つ。