水月夜

もしかして室谷さんは、ミニマリストだったのだろうか。


そう考えながら、玄関近くにあった階段を上っていく。


2階にはドアが4つほどあり、どこに入ればいいのかわからない。


と、そのとき。


一番左のドアが半開きになっていることに気づき、そっと中を覗いた。


部屋にはたくさんの絵が飾られており、イーゼルやキャンバス、パレット、筆、絵の具が目立つところに置いてあった。


だが、それよりも気になるのは、大きな窓の前に久保さんがたたずんでいることだ。


なんで久保さんがこの部屋に……?


そう思った直後、久保さんが急に振り返り、私と視線をぶつけた。