水月夜

雨宮くんに捕まるまで、時間はかからなかった。


ガシッと肩を掴まれ、足を止められた。


「なんですぐに屋敷に入ろうとするんだよ」


「久保さんが屋敷に入っていった理由が知りたいからだよ。雨宮くんだって知りたいでしょ?」


「まぁ……」


「だったら、久保さんのあとをついていくしかないじゃん」


そう言い放ち、雨宮くんの手を軽く振り払う。


そして、屋敷の中へと入った。


屋敷に鍵はかかっておらず、ドアを開けるだけで中に入れた。


屋敷の中は、ひとことで言うと殺風景。


いくつも区切られた部屋に必要最低限のものしか置かれていない。