水月夜

聖奈が指さす方向に目を向けると、そこにはレトロな雰囲気のある大きな屋敷があった。


室谷さんが死んでから屋敷の手入れがされていないのか、外壁にはツタが絡まっている。


とてもではないが、近寄りたくない建物だ。


「あれが、室谷さんが住んでた屋敷……?」


本当に室谷さんが住んでいたとは思えなくて、口からついそんな言葉が出ていた。


「うん。室谷さんが死んでから誰も住んでないみたいだから、ツタが絡まってるのかも」


「……その情報も、お父さんから?」


「うん、そうだよ」


聖奈のお父さんは本当に都市伝説好きなんだな。